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2025年10月号 日本のインド外交について

インドと日本は活力ある民主主義国家であり、世界をけん引する経済大国である。急速に変化するテクノロジーの時代において、ルールに基づく国際秩序を守り、世界経済の安定と国内での新たな成長の原動力を生み出す役割を担っており、自由経済はインドにとっても世界にとっても重要である。経済安保やサプライチェーン(供給網)のグローバル化の前提そのものが検証されている。あらゆる国が、貿易と技術における多様化の必要を感じている。

そのような世界情勢下、インドのモディ首相は8月下旬来日下記の趣旨の発言をされている。
(1)現在のような世界の情勢のなか、インドと日本のような経済大国と民主主義国家の間の相互協力は非常に重要であること。
(2)日本との関係については、信頼、友情、相互善意に根ざしており、技術が急速に変化するこの時代に、ルールに基づく秩序を守り、世界経済を安定させる役割を共に担うべきであること。
(3)科学技術とハイテク産業が我が政府の最優先課題であるとし、特に半導体分野は中央政府と州政府が優遇措置などの政策で支援すること。
(4)一言で言えば「強いインド」である。その内容は、軍事力のみならず、広い分野にまたがる総合的な強さである。外交・安全保障、経済、科学技術、文化であること。

インドが日本に期待するものは、日本人が思っているよりも大きいし、多岐にわたると言える。第一に外交面では、日印間に直接利害対立する争点がないばかりか、国連安保理の常任理事国入りなど共闘できる分野もある。また安全保障面では、中国の存在が両国を接近させていることは明らかであり、21世紀に入って両国の安全保障面での協力関係は大きく前進した。日本側のインドへの期待はこの点にほぼ集中しているといってよい。第二の経済面と第三の科学技術を合わせた分野でのインドの日本への期待は極めて高い。新幹線をはじめとするインフラ部門、防衛産業、原子力などが含まれる。日本の科学技術に対する信頼は絶大で、インドは自国の発展にとってそれが不可欠と考えている。インドは新興国市場の開拓でも重要である。中東やアフリカの市場に進出しているインド企業と日本勢が協業する意義がある。

石破首相も日本の再生における地方の役割を重視している。インドとインド人が日本の自治体とより緊密に連携する方法や、都道府県が描くビジョンにどのように貢献できるか。日本の都道府県においても、インドを探求し、協力し、一緒にビジネスを行い、互いの強みと優位性を生かしたいとの強い意欲が存在する。両国の人々の交流を一層促進することである。

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