2025年12月号 地域金融機関の再編を促す
低金利環境の継続や人口減少、高齢化の進展等により、地域金融機関の経営環境が厳しさを増しております。地域金融機関の課題と競争のあり方としては、
① 人口減少などからみて将来にわたり地域に健全な金融機関が複数行存立し得るか、過当競争により共倒れになるおそれはないか。
② 県外金融機関の県境を越えた貸出動向などからみて、県内シェアの高まりにより「金利等の融資条件」や「金融サービスの質」にはどのような変化が生じるか。
③ 金融機関が経営統合により生み出される余力(人材・資本等)を地域における金融インフラの確保や金融仲介の質の向上のために具体的にどのように活用すると表明しているか、その実現性・実効性は十分に見込まれるか。 等が考えられます。
業態を超えた再編を促すために、本年度の金融行政方針において、「地域金融力強化プラン」の策定作業が進められているます。その根底にある前提条件が「デモグラフィカル」すなわち人口減少と少子高齢化であります。これらは、全国に共通する構造的な問題であり地域金融機関には、単なる融資機能を超えて地域社会の再構築に貢献する役割が強く期待されています。
金融庁は地域金融機関の持続可能性を高めるため、合併の際の補助金や災害時の対応を手厚くする。金融機関の再編に伴う初期コストを補助する制度で、地方銀行と信用金庫のように業態を超えて合併する場合の交付金を増やす。2025年末にまとめる「地域金融力強化プラン」で制度の拡充を打ち出しています。地銀などが合併や経営統合をする場合に情報システムの統合などといった初期コストを補助する資金交付制度を拡充する方向であります。地銀と信金、信金と信組などといった業態を超えた再編に関してはさらに高い水準で補助金を出す方向であります。
地域金融機関の持続可能性を高めるには、
(1)再編インセンティブ強化 ①業務改善命令を受けた金融機関との合併・経営統合 ②地銀と信金など違う業態の合併 (2)災害時に迅速に公的資金注入 震災・コロナ特例を常設の規定にする。 (3)共同化の推進 中小規模の金融機関のシステム共同化に補助金を出す。 等があります。
金融機関も生き残りをかけた再編の幕が開き、数年後には業態を超えどのような姿になっていることでしょう。