金融NEWS・コラム

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2025年6月号 大手旅行会社海外展開に活路を見出す

コロナ禍で大打撃を受けた旅行業界、2023年5月に新型コロナが5類へ移行し、国内旅行やインバウンド需要の回復が追い風となり業績が急回復しています。ただ現実の問題として、日本から海外への旅行関連の売上高が、新型コロナ前から回復していないことがあります。日本の旅行会社は、旅行取扱額の9割以上を日本人に依存し、インバウンド(訪日外国人)を含む世界の旅行客取り込みが喫緊の課題であります。これまで日本人の旅行手配が中心であったが、これからは世界の旅行需要を取り込み外国人の海外旅行やMICE市場を開拓しなければなりません。
*MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体・学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市・イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語で、これらのビジネスイベントの総称です。

いまや円安や物価高で国内の旅行需要の回復が遅れており、海外拠点で外国人旅行者の需要開拓を急ぐとともに、成長する海外のMICE市場を開拓することが大事です。国連世界観光機関によると、2024年に世界の海外旅行客は推定14億人を上回り、コロナ前の99%の水準まで回復しました。今後は成長するアジア・オセアニアの各拠点間で国際会議や展示会の運営ノウハウを共有します。国際会議の運営代行や宿泊の手配、参加者に同行する配偶者の観光プログラムなどMICEに関連するサービスを一括して手掛けることが大事です。

4月30日経済産業省は、「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンスガイダンスを公表しました。それには、将来的なビジネスモデルの在り方や、その下での事業ポートフォリオの在り方を踏まえ、貴重な経営資源をコア事業の強化や将来の成長事業への投資に集中に触れています。まさに、大手旅行会社は大きく舵を切っております。現在大手旅行会社は、危機感をもって改革を進めています。
(1)A社では、①海外で異文化交流イベントを開催すること。②海外の旅行会社と日本の旅館などの商談会を増やすこと。
(2)B社では、①海外拠点で訪日観光したい外国人への対応を強化すること。②海外の拠点を将来的には倍増させること。 
(3)C社では、①多言語対応できるスタッフをマニラに集中させ、外国人旅行者のホテルや現地ツアーを手配すること。②各国からの注文に対応する人員を増加させること。
(4)D社 では、①国際会議などイベントの運営代行や出席者のホテルを手配すること。②日本国内の専門スタッフを海外拠点に派遣すること。等を実施しています。

まだまだ捨てたもんじゃない、日本ならではの特性を残しながら踏み出せるか。この覚悟が問われます。必ずできる。できるまでやりきることが大事です。日本の企業の試金石になると考えられます。頑張れ日本の企業!

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