2026年4月号 スリランカ研修旅行を終えて
スリランカはサンフランシスコ講和会議(1951年)において、「憎悪は憎悪によって止むことなく、愛によって止む」という仏陀の言葉を引用し、賠償請求権を放棄できるように働きかけ、日本を国際社会の一員として受け入れるよう訴えた故ジャヤワルダナ大統領(当時財務相)の存在があります。その翌年、日本は外交関係を樹立して現在の日本があります。しかしながら、スリランカは、2022年観光業の低迷などによる経済危機で債務不履行(デフォルト)状態に陥りました。そこで日本やインドが議長国を務める「債権国会合」が23年に発足し、スリランカ政府と債務再編を協議してきました。日本は、24年にスリランカへの円借款事業の再開を決めたということです。
25年のアフリカ開発会議(TICAD)で日本政府が打ち出した「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」につなげました。スリランカやインドを拠点に南アジアから中東やアフリカに輸出するサプライチェーン(供給網)に発展させることができました。スリランカの安定と発展は、重要海上ハブ拠点として、また日本・スリランカ・インド輸出志向型産業回廊構想からも、シーレーンを共有する日本や世界経済の成長の中心となるインド洋・アフリカ経済圏にとって極めて重要であります。
過去ノリタケ株式会社は、1972年スリランカにランカポーセレン社設立(食器製造)(現NORITAKE LANKA PORCELAIN (PVT)LIMITE)して以降50年以上も堅実経営をしておりスリランカ国内において、日本的経営に関心が高いのも事実であります。
最近では、中堅ゼネコンのあすなろ建設(東京・港)が現場監督などをアジアから積極的に採用しています。2026年度に入社予定の約100人のうち20人ほどが外国人であります。入社前の日本語教育や日本での生活支援といった仕組みも整備しました。建設業が直面する高齢化や人材難に対応しています。在留資格「高度専門職」として外国人社員63人のうち半数以上がスリランカ人で、26年度にもスリランカ人10人以上が加わる予定となっています。多くを占めるのがスリランカの名門モロトワ大学であります。来日後もあらゆる面から生活を支援しています。24年には社内に「海外技術者育成就労支援室」を設立しました。手厚い支援が奏功し、外国人の退職者は現時点で0人であります。(日本経済新聞 3月3日 朝刊)
日本とスリランカの二国間関係は伝統的に友好的であり、日本にとってスリランカは、海上輸送ルートの確保や南アジア地域との経済関係の発展において地政学的に重要であります。自由で開かれたインド太平洋(FOIP)構想は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や地域的な包括的経済連携協定(RCEP)を始めとする多国間経済連携協定の交渉を通じた自由で公正なルール作りの実現を目指しております。
スリランカ・日本ビジネス協議会は、スリランカの喫緊の課題として格差と貧困の問題及び中央政府と地方政府との関係をあげています。これからの目指すべき方向性として、①国民の強い精神力 ②自発的な団結と協力―――復興から再建へ ③伝統的な製造技術と継承と発展 等をあげていますが、同様のことが日本にも当てはまると考えるがどうだろうか。