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2022年2月号 第三セクター温泉リゾート施設「ハイジアパーク南陽」の再生事案

 

ハイジアパーク南陽は、住民の福祉の増進と地域の活性化を図るために、日帰り温泉やプールなどを備えた市の保養施設で1992年にオープンした。同市の第三セクターが運営していたが、経営が悪化して債務超過が常態化しており、市財政への負担増に不安を持たれていた。

 

南陽市としては、令和2年3月「ハイジアパーク南陽の今後のあり方(基本方針)」を公表し、令和2年度中に民間事業者へ譲渡することを含めて継続方法を模索し、継続が不可能な場合は事業停止を発表していた。令和2年9月から10月に譲渡先公募を行った結果、同10月、株式会社KEN OKUYAMA DESIGNが応募し、同11月に審査会(プレゼンテーション)を行い、同社が優先交渉権者に決定した。同12月以降は、事業計画(案)の説明や打ち合わせを行い、昨年5月に旧ハイジアパーク南陽の活用に係る事業計画書(案)が提出された。

 

同市は、修繕費と固定資産税相当額や温泉用地借り上げ料の10年分、計148百万円を支援するとともに、約12万平方メートルの敷地と広さ4,800平方メートルの建物を11千円で売却すること等相応な支援をしている。

 

事業計画書(案)では再生事業の目的として、①地域の事業をつなぐ中核 ②新規顧客獲得 ③雇用の創出 ④税収の向上 をあげている。新規顧客獲得では、今までの温泉客、観光客だけではない、情報に敏感で自ら情報発信していくような顧客層の獲得を目指している。本事案は、世界的な工業デザイナーの奥山清行さんが建築家の隅研吾さんやイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」のシエフ奥田政行さんと組むなどデザイン・建築・食の分野で知名度の高い3氏での再生事案である。

 

従来、再生の担い手は法律・金融・事業・会計等の専門家である弁護士・金融機関・公認会計士・税理士・コンサルタント等でしたが、これからはブランド・デザイン・コンテンツ・顧客ネツトワーク・意匠等のスペシャリストを再生事案のメンバーとして果たす役割が増していくことが大事である。すなわち、ハード面ばかりでなく、より付加価値を高くするソフト面が再生には欠かせない。

 

 

 

 

 

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