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2026年8月号 人権デューデリジェンスとは

人権デューデリジェンス(人権DD)とは、企業が自社のサプライチェーン(供給網)で人権侵害のリスクを調査し改善する取り組みのことであります。強制労働や児童労働、差別、ハラスメントなど調査対象となる人権侵害リスクは多岐にわたります。国連が2011年に策定した「ビジネスと人権に関する指導原則」で世界の企業に人権DDの実施を促したことを契機に欧州を中心に法制整備が加速しました。欧州連合(EU)は2029年までに企業規模に応じて人権DDの義務付けを進める方針です。

人権方針が満たすべき5つの要件として
① 企業のトップを含む経営陣で承認されていること。
② 企業内外の専門的な情報・知見を参照にした上で作成されていること。
③ 従業員、取引先及び企業の事業、製品またはサービスに直接関わる他の関係者に対する人権尊重への企業の期待が明記されていること。
④ すべての従業員、取引先及び他の関係者に向けて社内外にわたり周知されていること。
⑤ 企業全体に人権方針を定着させるために必要な事業方針及び手続きに、人権方針が反映されていること。

日本企業は対応が遅れております。PwCコンサルティング(東京・千代田)が2025年に売上高200億円以上の日本企業を対象に実施した調査では、人権DDを実施していない企業は56%と過半数を占めております。人権尊重の姿勢は国際基準になり、企業の主要な経営課題の一つとなっています。投資家からの評価に直結するほか、実施しない場合には取引停止など企業価値の低下につながる可能性もあります。

日本企業の中にも前向きに取り組む企業として、日経新聞朝刊(2026/6/29付)がファストリを記事として取り上げています。『ファストリは年1回をめどに、工場の衛生環境や安全性、賃金や労働時間などをめぐる行動規範を順守しているかを監査している。1次取引先のすべての縫製工場に加えて、主要な2次取引先も対象だ。今回、各国の事情に応じた独自の監査項目をつくり、5月末までに700超ある国内外の工場に導入した。中国やバングラデシュなどで縫製や衣料素材を手掛ける工場が対象となる。新たな監査では、ファストリが独自に監査項目を作成した。基本項目は約300項目で、行動規範に基づく全工場共通の項目となる。これに加え、国・地域ごとの固有の課題やリスク、法令を踏まえた監査項目を数十程度上乗せする。』

日本は、2024年世界経済フォーラム(WEF)の「グローバル・ジェンダーギャップ(男女格差)指数」が146か国中118位であり、G7では最下位であります。人権問題に取り組むことは、企業価値向上につながります。

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